凶器乱暴法案数十件のうち、国会の敷居を超えたのはわずか2件
事件のたびに乱発された法案、国会を通過したのは2件のみ
無差別凶器乱暴事件が起こるたびに国会に大量に提出された処罰強化法案のうち、実際に国会を通過したのは、公衆威迫罪と公共場所凶器所持罪の2件にとどまった。KBSの報道によると、職務質問を強化する内容の法案は廃案となり、残りの多くの法案も審議未了または廃案の道をたどった。事件直後の国民の怒りと政治的圧力に押されて作られた立法が、結局は制度化にまで至らなかった形だ。
このような流れは今に始まったことではない。過去にも凶悪犯罪が発生すると、与野党が競い合うように処罰強化法案を発議してきた。しかし法制司法委員会の審査段階で論争にぶつかったり、会期終了とともに自動的に廃案となったりする例が繰り返されてきた。発議件数だけが増え、通過率は低い、いわゆる「立法ショー」現象が指摘される理由だ。
通過した2法案の核心的内容と適用対象
公衆威迫罪は、多数の人がいる場所で人を威迫して恐怖感を引き起こす行為を新たに犯罪と規定したものだ。従来の威迫罪は個別の被害者の告訴を要件とする場合が多く、不特定多数を対象としたテロ型の威迫に対応しにくいという指摘があり、新設された。公共場所凶器所持罪は、公衆が立ち入ることができる場所で正当な理由なく凶器を所持する行為そのものを処罰対象とする。凶器を振り回す前の段階、すなわち予備段階での捜査と検挙を可能にするという趣旨だ。
適用対象という点で、2つの法案には共通点がある。いずれも公共の場という空間的要件と不特定多数という対象要件を前提としている。ただし、凶器所持罪は所持そのものを処罰するため、日常的に凶器を携帯する職業の従事者や合法的な理由がある人との線引きが実務上の争点になるとみられる。
職務質問強化法案はなぜ廃案になったのか
廃案となった職務質問強化法案は、警察が公共の場でテロの恐れがある人物に対し身元確認などを行えるようにする内容を含んでいた。しかし、犯罪予防効果が不明確だという指摘とともに、国民の身体の自由や移動の自由を過度に侵害しかねないという懸念が提起された。刑事訴訟法の体系では強制捜査は原則として裁判官が発付した令状を要するが、職務質問の拡大はこの原則の例外を広げるものであり、法理論上の議論を避けることはできなかった。
与野党の立場の違いも分岐点となった。凶悪犯罪への対応を前面に掲げた側は事前予防の必要性を強調した一方、人権保護の観点からは恣意的な取り締まりやプロファイリングの懸念が提起された。市民団体も、広範な警察権限の拡大はむしろ不信と対立を助長しかねないと批判した。結局、採決に付されることなく廃案となったと伝えられる。
立法乱発と制度的限界の間に、残された課題
専門家たちは、事件対応型立法の限界を繰り返し指摘してきた。感情が高揚した時期に刑量を引き上げたり新たな犯罪を設けたりする方式は、再犯抑制効果が限定的であり、捜査・起訴後の矯正と再審支援の体制が伴わなければ実効性が低下するという。実際、処罰の水準を高めるよりも、危険人物の早期発見と管理、メンタルヘルス対応体制の整備のほうが犯罪予防に直結するという分析が刑事政策研究で繰り返し示されている。
今後の立法手続きを見ると、審議中の処罰強化法案は国会法製委員会の審査と本会議採決という関門を改めて通過しなければならない。任期満了とともに法案が自動廃案となる慣行を考えれば、かなりの数が再提出の必要性自体が見直される見通しだ。新設された2つの犯罪の適用事例や裁判の結果が蓄積すれば、刑法改正の議論にも影響を与えることが予想される。事件が起きたときだけ反応する立法ではなく、実効性と人権保障を併せて検討する常時的な立法検討体制が必要だという声が大きくなっている理由だ。
