AIの電力需要急増で脚光を浴びるナトリウム電池
人工知能(AI)の発展に伴う電力需要の急増の中、これを支える次世代電池としてナトリウムイオン電池が注目されている。ナトリウムイオン電池は、既存のリチウムイオン電池(電気自動車やスマートフォンなどに使われる標準電池)よりもコア原料への依存度を下げられるため、原料価格の変動やサプライチェーンリスク(供給途絶の危険)に対応する代替策だ。
LGエナジーソリューションは7月16日、梧倉エネルギープラントに実際の量産工程をそのまま適用するナトリウムイオン電池のマザーラインを構築した。来年から世界の顧客企業を対象とした概念実証(PoC)とエネルギー貯蔵装置(ESS)の電力網連携実証に着手する。生産方式には「アドバンスドZスタッキング(AZS)」工法が採用される。この工法は2024年に現代自動車グループと設立したインドネシア合弁会社HLIグリーンパワーを皮切りに、米国合弁会社HL-GAにも拡大適用された実績がある。
サムスンSDIも加わった。先月14日に発表した上半期報告書で、ロボットやヒューマノイド、宇宙・航空用電池へと事業領域を広げていると明らかにしたのに続き、先月19日の事業報告書にはナトリウムイオン電池の量産推進を明記した。電気自動車用電池のために建設を進めていた工場をESS用生産施設として活用し、リン酸鉄リチウム(LFP)よりも生産単価の低いナトリウムイオン電池を生産する見通しだ。
ポスコグループのニュースルームは先月19日、ナトリウムイオン電池について「AI時代の電力インフラの核心要素として注目される中、関連市場が拡大している」と明らかにした。これによると、モルガン・スタンレーはナトリウムイオン電池の年間導入規模が2035年には2473GWhに達するとの見方を示した。市場拡大が予想を上回るペースで進んだ場合、導入規模は3726GWhまで拡大すると見込んだ。ESS設置や製造設備、素材サプライチェーン、電力網インフラを含む累積投資規模も約8000億ドルに達すると指摘した。
ただしモルガン・スタンレーは、ナトリウムイオン電池は高い市場潜在力を有するものの、LFP電池を短期間で代替するのは難しいと評価した。すでにLFPベースで構築され、長期の運転実績が重視されるESSプロジェクトでは、価格競争力と量産経験を備えたLFPが当面は主力の地位を維持するという分析だ。ナトリウムイオン電池は、価格と安全性、低温性能が重視されるESSや商用車市場から徐々に存在感を広げていく段階にある。
