認知症患者を閉じ込めるのではなく、脳に合わせて住まいを改修する
認知症治療薬の開発は、いまだ待ちの時期にある。ヒットニュース取材チームは、認知症特集「消えていく記憶、残された人たち」の外伝で、薬ではなく「環境」に注目した。今この瞬間、患者と家族が共に生きていくために、家や空間をどう変えられるのか、実際のケアの選択肢を紹介する。
取材チームは今月10日、中央大学病院核医学科のソン・ヘジュ教授に取材した。同教授が提示した概念は「ニューロテリア(Neuroterior)」だ。認知症患者の認知機能や行動の特性に合わせて、照明や色彩、家具の配置、収納、移動動線などを設計する住環境のデザイン手法である。要点は、患者の行動を一方的に制御するのではなく、環境を改善することで残された能力を最大限に発揮できるよう支援することにある。
同教授は「私たちは認知症患者の『行方不明』という側面からしかこの問題を見ていないため、ドアに鍵を掛け、脳の本能を抑え込んで制御している」とし、「彼らがなぜ外に出たがるのか、何を探そうとしているのかを理解することが先だ」と述べた。認知機能が低下すると、家の中でもトイレが見つけられなかったり、ドアと壁を混同したりする状況が起こり得るという。
具体的な方法は、思ったよりシンプルだ。壁と床に明るさの差をつけ、便器やドアノブなどよく使う物は背景と色を変えることで、物を探したり空間の用途を把握したりする助けになる。光沢の強い床は水たまりがあるように見えることがあるため、艶消し素材とシンプルな模様がよい。夜間のトイレ利用時の転倒リスクを考慮し、睡眠のための暗さと安全な移動のための光を併せて設計する。
物の配置も認知的負担を減らす手段となる。リモコンはよく使うボタンだけを残し、残りを隠すといった具合だ。クローゼットには翌日着る服を一式だけ用意し、下着から上着、靴まで着る順に並べておけば、患者は順を追って自分で着替えることができる。ソン・ヘジュ教授は「ニューロテリアの核心は、大掛かりな工事や高価なインテリア材ではない。脳医学に基づいた選択だ」と語った。
こうした取り組みは、家庭を超えて村単位にも広がっている。オランダ・ヴェースプのホクヴェークは、認知症患者の移動を制限するのではなく、日常生活を維持できるよう設計された認知症専門の住宅モデルだ。スーパーマーケットやカフェ、レストラン、劇場、公園まで備えた村で、入居者たちは職員の支援を受けながら買い物や散歩をし、日常生活を続けている。医療スタッフはナース服ではなく商店の店員やカフェの店員の役割を担い、患者が施設にいるという感覚を最小限に抑えた。
ソン教授は、ホクヴェークの意義を「問いの転換」に見出した。同教授は「ケアの現場では、通常『危険をなくすには何を禁じるべきか』と問うが、ホクヴェークは『どんな支援があれば、この活動を続けられるか』と問う」と述べた。自分で散歩を選び、食卓を整え、他者と出会う一日は、保護だけを受けて過ごす一日とは違うという。
取材チームは、特集で扱えなかった認知症治療薬開発の現場の話も併せて伝えた。ヒットニュースはKAISTのキム・デス教授と中央大学病院核医学科のソン・ヘジュ教授に、認知症治療薬の開発がなぜ難しいのかを取材した。
