トランプ氏、30分の演説を延期してまでリードしたイ・ジェミョン氏との会談
5泊7日の訪問の成績表
トランプ大統領は基調演説を30分も延期してまで、イ・ジェミョン大統領との会談を引き延ばした。予定より20分ほど長引いた韓米首脳会談は、今回の5泊7日の外遊における核心の場面だった。イ大統領は国連総会への出席を兼ねた米国訪問と16年ぶりのメキシコ国賓訪問の日程をすべて終え、27日にソウル空港を通じて帰国した。
成果は文書として残った。韓国とメキシコは貿易協定締結に伴う共同の利益について研究することで合意し、7年間難航していた投資協定改定交渉も妥結した。さらに、包括的経済連携協定(CEPA)協議の糸口を開いたとの評価が出ている。CEPAは自由貿易協定(FTA)より範囲は狭いものの、関税・投資・協力分野を段階的に拡大する通商協定であり、メキシコという北米の玄関口との経済的つながりを再び作るという点で意義は大きい。
なぜメキシコなのか
メキシコは米国・カナダとともに米墨加協定(USMCA)の体制を構成する国だ。トランプ政権の保護貿易路線の下、韓国企業にとってメキシコは関税回避のための迂回生産拠点であり、北米市場進出の橋頭堡でもある。実際、イ大統領は韓メキシコビジネスフォーラムで両国政府・経済界の要人約300人と会い、メキシコに進出した韓国企業の関税負担問題に直接関心を示した。
経済外交としての象徴性も大きかった。国賓訪問という最高の外交礼遇の中で首脳間の信頼を築きながら、企業セールスまで結びつけたのである。通商交渉にありがちなことだが、期待ほどの実質が伴わない可能性はあるものの、今回の訪問は少なくとも交渉のテーブルを再び開いたという点で意義を認められる見通しだ。
韓米会談の真意と帰国後の課題
トランプ大統領が会談直後に「ゴルフをしよう」と冗談を飛ばしたのは、両首脳の関係が儀礼の域を超えたことを示す合図と受け止められている。ただし、首脳間の親密さが関税や防衛費分担金といった懸案の解決に直結するとは限らない。性急な期待よりも、交渉の各局面に応じた実務的な点検が必要だというのが大方の見方だ。
帰国と同時に内外の課題が待ち受ける。国内では与党2年目の国会監査を前に、人事検証をめぐる論争や最高裁判事候補者の再指名、司法・半導体が争点として浮上している。与党・国民の力はDMZ地雷とみられる爆発事故をめぐり、現場調査を故意に遅らせたのであれば弾劾事由になると圧力を強めている。与野党の安保・人事攻防は訪問期間中にすでに激化していた。さらに、イ大統領の国政支持率が下落傾向を示している点まで加われば、外交の成果を国内政局の安定につなげることが課題となる。
イ大統領は帰国直後、「反則や特権のない、人間らしい世界は、それを心から望む人々が行動し実践するときに初めて訪れる」と述べ、「行動しない良心は悪の味方だ」と語った。通商協定の妥結という目に見える成果の次には、支持率の下落と野党の攻勢という見えない壁を越えなければならない。外交の季節は終わり、国政の季節が始まった。
