FBI、民間技術を防諜(スパイ活動阻止)の対象に指定
米連邦捜査局(FBI)は、国家間の競争激化と技術革新の担い手が民間に移ったことに伴い、半導体設計やAIモデルといった民間分野の先端技術が新たな防諜(Counterintelligence)の対象として浮上していると明らかにした。FBI防諜・諜報局対外協力総括のジョシュア・オブスフェルド氏は、情報とは単に蓄積されるデータではなく、意思決定を変えるツールだと説明した。情報生成の空間が政府から民間に移ったことで、防諜の中心もそれに伴って民間へと移ってきた。同氏は、イノベーションが長年政府の外で行われてきたことを指摘し、民間技術が国家競争力の核となる資産として位置づけられたと明言した。
FBIは防諜を「中核情報の奪取と活用を阻止する全ての活動」と定義する。保護対象はかつての軍事機密に限定されず、半導体設計、人工知能モデル、先端兵器システム、産業プロセスデータといった広範な民間先端技術がすべて含まれる。
こうした変化は、攻撃対象の再編成へとつながり、企業は生産主体であると同時に、戦略的資産であり主要な標的という二つの役割を同時に担うことになる。グローバルなサプライチェーンと協力構造に基づくオープンシステムは、効率性を高める一方で、外部からのアクセス経路を拡大する脆弱性を露呈する。FBIが提示した脅威構造は、情報収集、重要インフラやサプライチェーンの妨害工作、欺瞞や強圧による意思決定への介入という三つの軸で整理されており、先端産業における企業内部の情報は国家戦略レベルの価値を持つ。
サプライチェーンは防諜の観点から、重要な変数として浮上している。特に、特定国への依存度が高い産業では、部品、素材、機器、ソフトウェアが連結された複雑な体系の中で、一部の地点を制御するだけで全体の流れに影響を与えることが可能になる。これは単なる生産の混乱にとどまらず、技術へのアクセスや情報フローそのものを変える結果をもたらす。
FBIは、問題発生後の対応にとどまらず、「発生させないための事前遮断体制」の構築を目指している。このため、情報機関、捜査機関、規制当局が統合された構造を運用し、民間企業との協力を強化している。企業はもはや保護対象にとどまらず、防諜体制の主要な構成要素として組み込まれている。
技術革新が行われる空間が国家間の衝突地点へと移り、情報は力であり、その力が生み出される場所が新たな戦場となる。