AIの羽ばたき一つがクリエイターを変える
クリエイターの制作現場で、AIはもはや選択肢ではない。2026年、アドビ(Adobe)が韓国を含む8カ国のデジタルクリエイター約1万6000人を対象に実施した調査によると、生成AI(自ら文章・画像・動画などを作り出す人工知能)を使ったことのあるクリエイターの75%がAIを作業に不可欠な要素として挙げ、制作スピードが速まったと回答した割合も93%に達した。
生産性の拡大幅も大きい。AIを積極的に活用すれば、一度の撮影がYouTube動画1本で終わらず、ショート動画やリール、ニュースレターとして再生産され、言語までも自動翻訳されて視聴者層が広がる。その結果、個人メディアは小さなメディア企業に匹敵する生産力を手にし、個人はプラットフォームの外で持続可能なブランドへと成長する余裕を得た。
こうした中、AIはカメラの前にも立った。ピンクの高級スーツに身を包み人生の助言を送るグローバルインフルエンサーの「グランニー・スピルス」は、8月時点でTikTokフォロワー92万人、Instagramフォロワー211万人を抱えながらも実在せず、クリエイターのエリック・スアレスとアダム・バセルシュタインが作ったAIインフルエンサーだ。二人はClaudeでアイデアと台本を作った後、VeoやSoraといった動画生成ツールで制作していると明かしており、韓国国内の「情緒不安定キムハムちゃん」や「ロマンチック無職カワウソ」もAIで作られたバーチャルキャラクターだ。
ただし、高い生産性がそのまま影響力につながるわけではない。グランニー・スピルスの一部の動画は、TikTokで独創性のないコンテンツと判定され、収益化の対象から除外された。Spotifyも、実在しない歌手に「AIペルソナ」の表示を付け、音楽推薦の対象から外すと発表するなど、信頼を基盤に成り立つインフルエンサーエコシステムでAIの限界を示す事例だ。
AIは口紅を塗った唇の画像を完璧に描けるが、午後3時には唇が乾き始めるといった一日の経験を共有することはできない。東京の美味しい店を数十軒まとめることはできても、三度目の来店のたびに注文するメニューといった個人的なヒントは持ち合わせていない。フォロワーが特定のクリエイターを探すのは、何を好きで何を諦めるのか、時間が経ってもどの基準を保ち続けるのかを見届けるためだ。
実際のユーザーであるクリエイターの計算式も変わりつつある。登録者409万人を抱えるYouTubeチャンネル「Vlogbrothers」を運営するハンク・グリーンは最近、自身のキャリアを振り返り「個人AIポリシー」を公表した。資料調査や編集の過程で大規模言語モデル(膨大な文章を学習し人間のように文章を書くAI)に過度に依存してきたと認めた上で、コンテンツは必ず人間が作ること、台本作成と編集には大規模言語モデルを使わないという原則を定め、多く作れば良いというものではなく、クリエイターの意見が本当に自分自身の考えだと信じできるものでなければならない、との結論に至った。
問いそのものが変わったといえる。わずか数年前、コンテンツ分野の話題は「AIで何を作れるか」だったが、制作過程でのAI使用が当たり前になるにつれ、問いは「どこまで活用するか」へと移った。YouTuberのポヨンニョンはアリュールとのインタビューで、グラビア撮影をする余裕がないときにAIが生成した画像をフィードに投稿したところ反応が良かったとし、何を作るかが明確な状態で思い通りの意図を実現するうえでAIは有用だと語った。
