救急病院たらい回しを防ぐ119病院指定法が可決
救急室たらい回し防止法、国会本会議で可決
救急患者が病院を訪れては突き返される、いわゆる「救急室たらい回し」現象を防ぐ法案が国会で通過した。国会は1日の本会議で、救急医療体系の改革を盛り込んだ関連法案を可決した。連合ニュースの報道によると、今回の立法の核心は、119救急隊が搬送先の病院を事前に指定・案内できるよう制度化することである。
これまで重篤な救急患者が発生しても、119救急隊が病院に受け入れを要請しても、病床がないことを理由に拒否される事態が繰り返されてきた。救急隊員は受け入れ可能な病院を探して搬送先を転々としなければならず、その間にゴールデンタイムが失われる事例が相次いだ。患者の立場では、救急室を何度も回されるうちに治療を受けられないまま帰らざるを得ない状況だった。このような構造的問題が議論される中、救急医療体系全体を見直すべきだという声が高まり、国会は最終的に119が受け入れ医療機関を指定できる根拠を整備した。
法案の核心的内容
改正案によると、119救急隊は救急患者の搬送時に、状態に応じた医療機関を指定して搬送できるようになる。指定を受けた医療機関は原則として患者の受け入れに応じなければならず、正当な理由なく拒否した場合には制裁の根拠が生じる。これは、これまで病院側が自発的に受け入れを決定していた方式とは異なり、国家が救急医療資源を配分する方向へ責任構造を変えたものである。
専門用語で言い換えれば、従来の「要請・受諾」方式から「指定・受入」方式への転換である。救急隊が患者の状態判断と同時に適切な病院を指定することで搬送の遅れを減らし、病院間の責任の押し付け合いを防ぐ効果が期待される。ただし、指定医療機関の負担を軽減する補償策が併せて機能しなければ、現場では受け入れ拒否が別の形で現れる可能性があるとの指摘もある。
産業災害過怠金制度とともに可決
この日の本会議では、救急医療法案とともに産業安全関連法案も可決された。繰り返し産業災害を発生させた事業者に対し、営業利益の最大5%まで過怠金を課すことができるようにする内容で、年間3人以上の事故が発生した企業が過怠金の対象となる。
両法案は、いずれも社会のセーフティネットの空白を埋める立法という点で共通している。産災過怠金制度は、繰り返し事故を起こす事業場に経済的制裁を加えることで予防を促す。営業利益基準の過怠金は、売上ではなく実際の利益に対して課されるため、事業場の規模にかかわらず実感しやすい制裁として機能するとみられる。重大災害処罰法が事後処罰に重点を置いているのに対し、今回は繰り返す事業場への常時的な圧力装置という違いがある。
市場・産業への影響
救急医療の面では、圏域別救急医療センターと地域の基幹病院の役割が拡大する見通しだ。受け入れ義務が生じることで、重篤患者の治療能力を持つ上位総合病院への患者集中はより顕著になる可能性がある。一方で、軽症患者を救急室ではなく外来や診療所へ誘導する選別体制を定着させるという課題も残る。病院業界では、救急医療人員や重症患者病床の拡充に伴う費用負担を懸念する声が上がっている。制度が実効性を持つには、救急医療報酬の現実化と人材インセンティブの整備が不可欠だ。
産災過怠金制度が施行されれば、製造・建設など重大災害多発業種において安全保健管理への投資が構造的に増える可能性が高い。営業利益の5%は一般的な行政処分より重い負担であり、企業にとっては事故防止に費用を投じる方が有利という計算が成立する。産業安全ソリューションやモニタリング機器市場には需要増加要因として働くとみられる。
今後の日程と展望
可決された法案はまもなく公布され、施行令の整備過程を経ることになる。119の受け入れ医療機関の指定基準、拒否事由の認定範囲、過怠金賦課手続きなどは下位法令で具体化される。特に、指定病院の受け入れ義務の例外範囲をどこまで設けるかが、施行令の議論の焦点になると予想される。例外を広げすぎれば制度の実効性が確保しにくく、狭めれば医療現場の反発が強まる可能性があり、均衡点を見いだす必要がある。
医療界や市民団体は、救急医療の財源拡充が今後の課題だと指摘する。受け入れ義務だけを強化し費用を回避すれば、病院の救急室閉鎖や縮小につながりかねないためだ。結局、今回の立法は救急医療体系改革の出発点であり、人材・病床・財政を網羅する総合対策が続くことで初めて実効性が確保されると展望される。
