軍艦が新たな通貨となった韓米同盟外交
軍艦の建造が韓米同盟の新たな通貨となりつつある。
李在明大統領が国連総会出席のため米ニューヨークを訪問する中、ドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で戦略艦艇を含む造船分野の協力を議論し、経済と安全保障を一つに結び付けた「投資外交」を披露した。李大統領は会談直後、「トランプ大統領と軍艦建造を含む造船協力を協議し、実質的な成果を期待する」と述べた。22日(現地時間)にニューヨークで行われたこの会談で、トランプ大統領が第一声で「夫人はお元気か」と尋ね、12月のゴルフの会合にも言及したと伝えられている。
造船所が描く同盟の未来
今回の協力協議の核心は、韓華が投資したフィリピンの造船所で進められる米国の戦略艦艇建造だ。李大統領は、韓華が米海軍の核心的資産である戦略艦艇を建造する現場に韓国企業がすでに参入している点を対米協力の実体として強調した。さらに、米国のAI・半導体産業に電力を供給するテキサス発電所事業が対米戦略投資1号候補として推進される中、造船とエネルギーを軸とする投資パッケージの輪郭が浮かび上がった。
23日にニューヨークで開かれた「大韓民国投資サミット2026」で李大統領は、ウォール街の金融リーダーたちと会い、「未来に向けて進化する韓米同盟こそが共同繁栄の基盤だ」と述べた。軍艦を造る造船所と資本を動かすウォール街をわずか1日でつなぐ日程には明確な意図がある。安保協力を投資誘致の信頼の担保として活用するという戦略だ。米国にとっては造船産業再建に韓国の海外建造能力が必要で、韓国にとっては巨額の対米投資を交渉カードにできるため、利害が絡み合っている。
「核のない朝鮮半島」へと変わった文言の意味
今回の外遊のもう一つの軸は、北朝鮮政策のハードル引き下げだ。李大統領は22日、国連本部での第81回国連総会の基調演説で「分断された世界を再びつなごう」と述べ、Kイニシアティブの3大ビジョンを提示し、朝鮮半島政策の3大方針として包摂的な平和共存、安定的な平和共存、世界平和に貢献する平和共存を掲げた。演説で従来の「北の非核化」に代わって「核のない朝鮮半島」という表現が登場したことは、終戦宣言以降に硬直した北米関係に突破口を開こうとするシグナルと読まれる。
李大統領はニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューでさらに踏み込み、対北朝鮮制裁の緩和を北朝鮮による追加の核兵器・大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発中止と引き換えにする価値があるとの見解を示した。完全な核廃棄ではなく、凍結を条件とする取引型的アプローチだ。李大統領は「核廃棄ではなく凍結を要求すべきであり、韓米ともに北朝鮮との対話の道を開いておくべきだ」との立場を繰り返した。会談ではトランプ大統領に北米対話への貢献を要請し、「そうする」との回答を得たと伝えられている。
外交の成果と内政の試練
ニューヨークでの流れは順調だが、国内の支持率は逆方向に動いている。国政運営への肯定評価は37%と前回比1.1ポイント低下し、就任後最低を記録した。低下理由の1位は「公訴取消」だった。李正賢検事総長職務代行は、大統領関連の刑事事件の公訴取消の可能性について、真相調査の結果を見なければならないと述べ、司法リスクが依然として影を落としている。大法官候補の再指名をめぐる曺喜大最高裁判所長官との対立も、大統領府が「大統領の任命権の無力化だ」として深い遺憾を表明する水準に拡大している。
外交の舞台で成果を積み上げる速度と同じだけ国内の政治的信頼が摩耗するという構図が、この政権の課題だ。軍艦と発電所に代表される対米投資が、造船・エネルギー産業に実質的な受注と雇用として還元されれば、支持率低下の圧力を相殺する名分となる。逆に、投資が宣言にとどまり、北朝鮮との対話も進展を見せなければ、外交と内政が同時に重荷となる可能性がある。
12月のゴルフ場が次の瀬戸際
短期的に注目すべき点は、トランプ大統領が言及した12月のゴルフの会合だ。首脳間の個人的な絆という非公式チャンネルが、関税や投資、対北朝鮮政策といった実質的な懸案の決め手となる可能性が大きい。造船協力が具体的な契約と日程として公式化されるか、制裁緩和の議論が国連安保理で実際の議題に上るかが、今後数カ月の見どころだ。ビジネスパーソンの間では「成功は結局3秒の歓呼で終わりやすく、その次が本番だ」という言葉がよく出てくるが、李大統領にとってニューヨークの歓呼は終わりではなく、本番の始まりに近い。
