肥満治療薬の中核技術、マイクロスフェア特許競争が過熱
肥満治療薬の中核技術である「マイクロスフェア」を巡り、国内外の製薬企業による特許戦争が激化している。この技術は、患者の利便性を高め、薬効を長期間維持させることで、月に一度程度の注射で済む長期持続型製剤の開発に不可欠である。
GLP-1系肥満・糖尿病治療薬市場は、「ウィゴービ」「マウンザロ」といった新薬の発売により、2030年代半ばには1000億ドル(約151兆円)規模に成長すると見込まれている。投与間隔の短縮を可能にするマイクロスフェア技術は、巨大な世界市場規模と高い技術的障壁から、国内製薬企業が社運を賭けて競い合う背景となっている。
マイクロスフェア製剤の開発は、薬物放出メカニズムの解明の困難さなど、高い技術的難易度から、1989年以降、米国FDAの承認事例が十数件に過ぎないほど開発が難しい。マイクロスフェア技術の核心は、薬物をゆっくりと均一に放出し、血中濃度を治療範囲内に安定的に維持することである。しかし、マイクロスフェアの製造および薬物放出メカニズムは未だ完全に解明されておらず、開発過程で多くの困難が伴う。特に、初期の薬物が一度に放出される「初期過剰放出」の問題は、薬効の持続を妨げるだけでなく、安全性さえ脅かす可能性がある。水に溶けやすいペプチド成分であるGLP-1の場合、マイクロスフェアの外側へ偏る傾向が強く、薬物を均一に含有させ、初期放出を制御することが一層困難となりうる。こうした技術的難題のため、市販されているマイクロスフェア製剤のジェネリック医薬品は、ほとんどないのが現状である。
製薬企業はマイクロスフェア技術の開発に注力している。最近2年間で、マイクロスフェア関連の国内特許出願は8件に上り、G2Gバイオとアウルバイオが多数の特許を出願したと把握されている。ペプルトン、ネクスファームコリア、東国製薬、HLB製薬なども、セマグルチド、チルゼパチドといった次世代肥満・糖尿病薬を標的としたマイクロスフェア技術特許の確保に乗り出している模様だ。HLB製薬は既存特許の弱点を補完する特許を、G2Gバイオは次世代薬へと戦線を広げ特許登録を受けたことが確認されている。これらの企業の技術開発は、国内市場を超えて海外市場へと拡大する可能性がある。市場規模が大きく、技術的障壁が高いマイクロスフェアを巡る特許競争は、今後も続くと予想される。
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