警察への不信で20〜30代が夜9時前に帰宅
警察の捜査を信じがたいという不信が高まる中、20〜30代の女性の間で誘拐や殺人といった凶悪犯罪への恐怖が広がり、夜9時前に帰宅するなど、自らを守ろうとする動きが現れている。ソウル市麻浦区で一人暮らしをしている大学生のハンさん(23)は、つい最近まで夜遅くまで学校で勉強した後、一人で家に帰っていた。しかし最近は約束があっても夜9時前には帰るようにし、それより遅くなる場合は家の前まで一緒に歩いてくれる友達を探すという。周辺の性犯罪者の位置を知らせる「性犯罪者通知e」アプリもインストールした。ハンさんは「ニュースに出るだけだった犯罪が自分にも起こり得るという不安感が急に大きくなった」「龍仁に住む両親も『どこにいるのか』『家に入ったのか』と頻繁に電話をかけてくるし、友達とも犯罪被害についてよく話す」と話した。
投稿にあった対処法の一つが「トクトク112通報法」だ。言葉にしにくい危機的状況で112に電話をかけた後、無言で任意の数字を2回押すと警察がリンクを送ってくる。被害者がリンクに接続した瞬間、カメラが自動的に起動し、位置情報が警察に送信される仕組みだ。正規に営業しているタクシーを見分ける方法も紹介された。現行法上、タクシーやバスなどの事業用車両のナンバープレートには「ア・バ・サ・ジャ」の文字が含まれるため、この4文字がない場合は犯罪に利用されるか、無登録営業車の可能性があるという。「誘拐状況を想定した対処法」の投稿には、「別の場所に連れて行かれないよう最後まで抵抗せよ」「加害者の毛髪や皮膚組織などの痕跡をできる限り残せ」といった内容が記されていた。
こうした不安には統計的な根拠がある。警察庁の統計によると、全犯罪被害者のうち女性は2021年の40万6593人から2024年には47万3580人へと、3年間で16.5%増加した。殺人事件被害者に占める女性の割合も同期間で40.9%(269人)から43.5%(336人)へと上昇した。
問題は、確認されていない怪談までが不安に重なっている点だ。先月、済州で失踪届が出された4人が3日間のうちに相次いで死亡した状態で発見されると、SNSには失踪者の位置を地図に示した「済州失踪マップ」が拡散され、そこには臓器売買組織や中国人犯罪組織が関与したなど、事実かどうか確認されていない書き込みが寄せられた。出所の分からない映像も「新種の誘拐手口」として拡散している。今月8日にSNSに投稿されたドライブレコーダー映像には、ある高齢者が車の運転者に助けを求める場面とともに、老婦人を餌にして背後から一味が襲いかかり誘拐するという主張が添えられていたが、真偽は確認されていない。誰かが倒れたとして助けを求められてもすぐに近づくなという投稿も急速に広まった。
怪談拡散の構造を指摘する声もある。建国大学警察行政学科のイ・ウンヒョク教授は「報道された凶悪犯罪と犯行手口がYouTubeやブログ、SNSに移っていく過程で、確認されていない推測まで加わり、怪談が拡散している」と分析した。
不安が高まった背景には、捜査体系の改編をめぐる論争も絡んでいる。国会立法調査処のホ・ミンスク立法調査官は「10月以降、捜査権を事実上独占することになる警察が女性対象の犯罪に積極的に対応していないという不信が、20〜30代女性の不安と恐怖をさらに大きくした」と述べた。
