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人工知能ががん治療の個別化で医療の姿を変える
人工知能ががん治療の姿を変えつつある。AIが患者一人ひとりのがんに合わせた治療薬の設計に乗り出している。モデルナとメルクは8月19日、個別化メラノーマ治療薬の第3相臨床試験で肯定的なトップライン結果を発表した。
今回の試験は高リスクメラノーマ患者1,137人を対象に実施された。手術で腫瘍を完全に切除した患者に対し、試験用治療薬インティスメラン・オートジェン(開発コードV940、mRNA-4157)と抗がん剤キートルーダを併用投与し、無再発生存期間という主要評価項目を達成した。遠隔転移のない生存期間を測る主要評価項目も満たした。両社は、この結果が個別ネオアンチゲン治療薬として初の第3相成功であり、mRNAベースのがん治療薬としても初の第3相成功事例だと説明した。
治療方式の核心にはアルゴリズムがある。研究チームは患者の腫瘍組織から出発し、その腫瘍だけが持つ変異を分析する。人工知能が免疫系にがんを認識させる標的を選別し、これをもとに最大34個のネオアンチゲンをコード化したmRNA治療薬が作られる。モデルナは、V940の開発過程全体に統合AIアルゴリズムが活用されたと明らかにした。同じがんでも患者ごとに異なる治療薬が設計される。
ただし、両社が公開したのは第3相試験の要約レベルの結果である。全データは国際医学学会での発表と規制当局への提出を控えており、試験では全生存率の追跡が続けられている。今回の第3相結果は、AIベースの個別化がん治療が研究段階の概念を超えて臨床的根拠を備え始めたことを示しており、実際の治療現場への適用可否は今後の規制承認手続きを経て決定される見通しだ。
