イ・ジェミョン大統領が義務公開買付制度の均衡点に直接乗り出す
イ・ジェミョン大統領は、義務公開買付制度の比率と方式について「合理的な均衡点を見出さなければならない」と、基準設定の方針を自ら明らかにした。
背景と現況
義務公開買付制度とは、上場企業の買収者が少数株主が保有する株式を市場価格より高い価格で買い戻さなければならない制度である。イ大統領が大統領選の過程で公約として掲げた資本市場改革の核心課題の一つで、企業買収後に少数株主を保護せずに支配権だけを確保する行動を防ごうという趣旨だ。問題は比率と方式である。買付比率が高ければ買収者の負担が大きくなり、企業の合併・買収(M&A)市場そのものが縮小する恐れがあり、低ければ少数株主保護という制度の趣旨が損なわれる。イ大統領が「均衡点」という表現を用いたのは、まさにこのジレンマを認識していることを示している。
核心争点:比率と方式
議論の焦点は二つに集約される。第一は買付義務の比率だ。買収持分に関係なく保有株式の全額を買付しなければならないのか、それとも一定の比率だけ買付すればよいのかによって、買収資金の負担が大きく変わる。第二は買付方式だ。均等比率方式は少数株主全員に機会が均等にいきわたる一方、先着順方式は処理が早い代わりに公平性をめぐる論争がつきまとう。イ大統領の発言は、こうした選択肢をめぐり政府内でまだ確定した案がないことを示唆している。制度設計が市場に及ぼす波及効果が大きいだけに、慎重なアプローチが不可避だという判断と解される。
市場への影響
資本市場はこの制度の具体的な設計に神経をとがらせている。国内のM&A市場では、支配権買収後に少数株主への配慮なく経営権だけを掌握する事例が繰り返され、この過程で少数株主が損失を被るケースも少なくなかった。義務公開買付制度が導入されれば、買収者は最初から買付資金を算定しなければならないため、無理な買収の試みは減少する見通しだ。一方で、手続きと費用の負担が大きくなることで、外国人投資家の国内上場企業買収への参入が委縮する恐れがあるという懸念も出ている。比率をどこに定めるかによって、企業買収市場の温度は変わらざるを得ないというわけだ。イ大統領が「合理的な均衡点」を強調した背景には、少数株主保護と市場の活力という二つの価値を同時に実現しようという計算が潜んでいる。
関連法案の処理は国会との協議を経なければならない。野党の反発が予想されるだけに、比率と方式に関する社会的合意の過程が不可欠になる見込みだ。イ大統領が自ら基準の方向を示した以上、政府は具体的な数値案を近く発表すると予想される。国内資本市場の支配構造規範が変わる最初の試金石となるこの制度がどのような形で定着するかによって、上場企業買収の慣行と少数株主保護の水準が大きく変わる見通しだ。
