尹錫悦氏、控訴審でも死刑求刑
内乱首謀罪で起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が、控訴審でも死刑を求刑された。
12・3非常戒厳事態を捜査中の内乱特別検察(チョ・ウンソク特別検察官)は29日、ソウル高等法廷刑事12-1部(イ・スンチョル部長判事)で開かれた控訴審公判で、1審と同様に法定最高刑である死刑の宣告を裁判所に求めた。尹前大統領は1審で無期懲役を宣告されていた。前国家元首に対する死刑求刑は、韓国司法史上異例の事例だという評価が出ている。
裁判の経過と争点
尹前大統領は2024年12月3日夜に宣布された非常戒厳に関連し、内乱首謀罪などの容疑で起訴された。特別検察は、戒厳宣布が憲政秩序を脅かす重大な犯罪行為であるという立場から譲らなかった。1審の裁判所は容疑の大部分を有罪と認定し無期懲役を宣告。尹前大統領側と特別検察の双方が控訴し、2審が進められてきた。
核心的な争点は、戒厳宣布が憲法の定める要件を満たしていたか否かだ。弁護側は合法的な統治行為だったと主張したが、特別検察は国会の機能麻痺や選挙管理委員会の掌握の試みなどを根拠に、内乱の成立を認めるべきだと反論した。死刑求刑が繰り返されたのは、犯罪の重大性と責任の重さを強調しようとする特別検察の判断と解釈されている。
量刑をめぐる議論と社会的反応
死刑求刑をめぐっては評価が分かれる。罪質の重大性を考慮すれば当然の結論とする見方がある一方、実質的な執行可能性と刑罰の均衡原則を考慮すれば過剰だという指摘も出ている。国内では死刑が1997年以降長らく執行されていないという点から、求刑そのものが象徴的なメッセージに近いという分析もある。
法曹界では、2審判決が1審の刑量を維持する可能性が高いと見る見方が支配的だ。ただし、控訴審で裁判所が内乱罪の構成要件の解釈をどう扱うかによって、上級審でも法理上の争点が継続し得るという見通しも示されている。裁判の結果は、今後の公務員の職務行為に対する刑事責任の基準を定める先例として機能すると見られる。
政界と立法問題への波紋
裁判は政治日程にも影響を及ぼしている。与党の共に民主党は、裁判の結果を契機に内乱関連法制の整備の必要性を提起し、憲政秩序擁護に関連する立法に拍車をかける構えだ。一方、国民の力の一部からは裁判の政治的中立性を問題視する声が上がっており、国会レベルの対立も併せて進むと予想される。
同じ期間、選挙管理委員会特別検察(イ・テハン特別検察官)による投票用紙の検証が終了し、247万枚の投票用紙が搬出されるなど、特別検察の活動が多方面で続いている点も注目される。司法部の判断が政界の信頼と次期選挙制度改革の議論に直結する状況の中で、一つの裁判の重みがかつてなく重くなったといえる。
2審判決の時期は、裁判所の審理の進行に応じて決まる見通しだ。双方の最終弁論と判決宣告を前に、弁論終結の可否に注目が集まっている。尹前大統領側が有罪判決の場合は最高裁まで争う方針を維持する場合、事件の最終的な決着までには相当な時間がかかると見られる。「真実は時が経っても変わらない」という古い格言のように、この事件の最終的な判断も司法部の結論を待つほかない。
