李在明大統領、手続きの不備により孫鳳基候補を返納
李在明(イ・ジェミョン)大統領は、大法院判事の人事任命を自ら取り下げた。
差し戻しの対象は孫鳳基(ソン・ポンギ)候補である。大統領室によると、却下の理由は「手続き的完全性の欠如」だった。
人物の資質や傾向ではなく、手続きそのものが障害となった形だ。憲政構造上、大法院判事は大法院長の提請に基づき大統領が指名し、国会の同意を経て任命され、任期は6年である。一度の人事任命が数年間にわたって司法部の性格を規定するポストであるだけに、事前検証や関連機関との協議といった過程の比重も大きかったはずだ。その過程が完全に経られる前に候補が取りざたされた点が、問題として指摘されたものと解される。
「手続き的完全性の欠如」――李在明大統領が孫鳳基大法院判事候補の却下に付した理由
「バランス調整」という計算
デイリアン(The Dailyian)の総合報道は、今回の措置を司法改革におけるバランス調整の延長線と読んだ。李大統領の足取りを列記すると方向性が見えてくる。彼は検察改編議論の時期について、公にペース調整が必要だと発言したことがある。警察改革も同じ結論だ。国務会議で「警察の規律緩慢、無責任の問題が深刻だ」と痛告しつつも、実際の実行装置は国務総理室傘下の警察改革機構の検討という制度的枠組みに収めた。スローガンよりも機構と規則を優先した選択である。
この文脈で却下の意味が鮮明になる。捜査・司法改編を推進する与党勢力の総帥が、あろうことか自身の人事任命において手続きの不備を理由に拒絶したのだ。改革のスピードを上げる代わりに規則遵守を示すことで、司法の再編が一方的な推進ではないことを確認させようという計算と解釈される。先月25日、青瓦台が民主党の金民錫(キム・ミンソク)新代表と韓柄道(ハン・ビョンド)院内代表ら指導部を招き、2時間20分余り会談したことも、党政間の人事手続き調整に重きを置く動きと見ることができる。手続きに瑕疵が残れば、任命の効力を争う訴訟に発展する懸念があるため、事後のリスクを事前に遮断した側面もある。
裁判の予測可能性は投資インフラだ
司法手続きの安定は市場にも直結する。企業紛争やM&A、債権回収が予測可能なルールの中で回るかどうかは、国内外の資金が投資判断の前提とする基本的条件だからだ。改編議論が急ピッチで進めば政策の不確実性が大きくなり、そのコストはリスクプレミアムの形で資金調達に転嫁されがちだ。スピードよりも完全性を選んだ今回の決定は、法的安定性の側面で重みを持つシグナルとの評価が出ている。
失うものも計算しなければならない。人事が最初からやり直しになれば、定員14人の大法院が揃う時期はそれだけ遅れる。審理の遅延が重なれば、手続きを守るというメッセージが司法運営の停滞と映る可能性があり、それが残された負担だ。
「5日間」の時計がすでに回り始める
焦点は後任指名に移る。自ら完全性を強調しただけに、新候補に対する検証と協議はより緻密になることが予想される。確認すべき時計は大法院判事の人事だけではない。李泰瀚(イ・テハン)選管委特検に関連し、李大統領は特検要請を受けた日から5日以内に特検補候補者5名を任命しなければならない。法定期限内の遵守と候補選抜の透明性が、まさに手続き中心改革の真価を測る物指しとなる。
リンカーンは、誰かが成し遂げた成功は他の人々も達成できるという証だと語った。司法改革の成否もまた、宣言の大きさではなく、一度守ったルールが次のルールの基準になるという形で決着がつくだろう。孫鳳基候補の却下が単発的な措置にとどまるのか、実質的な基準として定着するのかは、次の人事と特検運営が示す見通しだ。
