119選択搬送法案が国会で通過
119が救急室を選んで搬送する時代が到来
救急患者が病院をたらい回しにされた末に死亡する事故を防ごうとする法案が、国会本会議の扉をくぐり抜けた。いわゆる「救急室たらい回し」を解消するための救急医療関連法案が、2日に国会本会議を通過したものである。核心は、119救急隊が患者の状態に合った医療機関を事前に指定して搬送する仕組みだ。これまでは、救急隊が救急室に到着して初めて受け入れ拒否を告げられ、次の病院を探さねばならなかった。その間にゴールデンタイムが過ぎていった。
なぜ今必要だったのか
この法案の背景には、繰り返された惨事がある。重症救急患者が数時間にわたり数十の病院を回った末に亡くなる事例が相次ぎ、救急医療体制の構造的欠陥が社会的問題として浮上した。救急室を持つ病院は絶対的に不足している上、重症患者を受け入れられる圏域救急医療センターは全国に限定的に分布している。産婦人科・小児救急などの特定分野は、地域によっては全く空白状態のところもある。患者の受け入れ先がないというのは個々の医師の問題ではなくシステムの問題だという指摘が、これまで医療界や学界で絶えず提起されてきた。
特に2024年の医科大学定員増員以降に激化した研修医の離脱で救急室運営の空白が長期化する中、搬送体制を整備しなければ患者の安全を保障できないという認識が広がった。立法の必要性について与野党の共通認識が、今回の通過で現実のものとなった形だ。
核心内容は何か
法案の中心は、119が受け入れ医療機関を指定するいわゆる「選択搬送」制度の法的根拠の整備だ。消防当局と保健当局が連携して患者の重症度に応じて搬送先の医療機関を事前に決め、救急隊はこれに従って患者を搬送することになる。救急医療脆弱地域では、重症患者発生時に圏域救急医療センターなどの高度機関へ直接搬送する迂回搬送体制も整えるよう定めた。また、救急医療情報を管轄機関がリアルタイムで把握・共有し、どの病院が何人の重症患者を治療する余力があるかを救急隊が確認できるようにする内容も盛り込まれている。
適用対象は全国の救急医療機関と119救急隊員、そしてこれを指揮する消防・保健当局だ。現場では救急隊員の判断により即時搬送が行われ、病院側が正当な理由なく重症救急患者の搬送を拒否できないようにする方向の規律も併せて議論されてきた。
賛否の論争と市場への影響
国会審議の過程では賛成が圧倒的だったが、実務上の懸念も存在した。医療界の一部からは、病院に患者を受け入れる余力がない状況で指定搬送だけを強制すれば、救急室の過密化が深刻化しかねないと指摘された。情報システムが正確でなければ、結局は人ではなくデータを信じて患者を送り出す結果になりかねないという指摘もあった。一方、救急医療の専門家たちは、患者が行き先を知って動くことと知らずに動くことでは生存率に明らかな違いが生じるとして、制度導入自体は不可欠だという立場だった。市民団体も、患者の移動権と生命権の確保という趣旨から立法を歓迎する声を上げた。
産業の側面から見ると、今回の通過は救急医療の情報化需要を拡大する契機となると見込まれる。リアルタイムで病床・重症度情報を共有するには、全国規模の救急医療情報システムの構築と維持が不可欠だからだ。関連するシステム構築事業や救急車・搬送機器の需要も増加すると予想される。
今後の日程と展望
本会議を通過した法案は、政府に送付され公布されれば施行に入る。ただし、選択搬送体制が実際に機能するには、消防庁と保健福祉部の下位法令の整備、医療機関ごとの受け入れ可能人員の算定基準の策定、情報システムの構築など、相当な準備期間が必要だ。医療界との協議なしに施行だけを急げば、現場の混乱が拡大しかねないというのが専門家たちの主な見解だ。結局、この法の成否は法文ではなく、救急室を守る医療人材が確保できるかどうかにかかっている。どれほど制度が精緻でも、患者を受け入れる病院がなければ、たらい回しはなくならないからだ。
