李在明大統領、憲法改正にブレーキ
李在明(イ・ジェミョン)大統領が憲法改正に加速をつけるどころか、ブレーキを踏んだ。
大統領は憲政会との会合で「憲法改正には賛成だが、反発を懸念している」という趣旨の慎重論を示した。これまで憲法改正の必要性を公式に認めてきただけに、今回の発言は方向性の微調整と受け取られる。与党内部ですら憲法改正論議は時期尚早だという指摘が少なくなかったことを考えれば、大統領室次長レベルの判断が反映された結果とみられる。
なぜ今、慎重論なのか
背景には現実的な政治計算がある。憲法改正は、国会で議席の3分の2の賛成と国民投票での過半数の賛成を同時にクリアしなければならない超難関の課題だ。現在、与野党間の対話が事実上途絶えている状況で憲法改正論議を強行すれば、国政の推進力が消耗される懸念が大きい。特に大統領が懸念を表明した「反発」とは、憲法改正論議が早期総選挙の構図や権力延長の枠組みに見える政治的副作用を指すものと解される。
時期的にも敏感だ。李大統領は最近、不動産統計が国民に正しく伝わっていないとして国務会議で直接問題を提起し、「江南(カンナム)・瑞草(ソチョ)・松坡(ソンパ)だけを取り上げたものだ」として報道を「フェイクニュース」と反論し、午後を中心に論争を引き起こしたことがある。こうした状況で憲法改正という超大規模な政治イシューを持ち出せば、住宅価格・民生イシューが埋もれるという批判を招きかねない。慎重論はこうした世論の地形を読んだ結果だという分析が出ている。
コミュニケーション方式の転換、ユーチube開設
興味深いのは、憲法改正慎重論と同時に大統領のユーチューブチャンネルが開設された点だ。「大統領のワイ」という名の初回放送が予告される中で、既存のメディアを通じたメッセージ発信に限界を感じた結果という解釈が可能だ。大統領は当初からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて公開的な意見聴取に乗り出し、コミュニケーションチャンネルの多様化を試みてきた。今回のユーチューブ開設はその延長線上にあるが、映像で直接国民に語りかけるという点で重みが異なる。
ただし、大統領の直接チャンネルの拡大は両刃の剣となり得る。野党や一部メディアは、大統領が特定の報道を「フェイクニュース」と規定し、SNSで反論する方式について報道への圧力だと批判してきた。自前の放送チャンネルまで備えれば、批判的な世論と正面衝突する頻度はむしろ増える可能性もある。「コミュニケーションか、圧力か」という問いは、ユーチューブ時代にもそのまま受け継がれる形だ。
憲政会との会合が語るもの
憲政会との会合は、憲法改正慎重論の文脈で注目に値する。憲政会は地方自治体はもとより、国内企業初の公益事業パートナーとしてジェンスと業務協約を結ぶなど、活動領域を広げてきた団体だ。大統領がこの団体に対し、憲法改正への賛成意思を維持しながらも慎重なアプローチを強調したのは、憲法改正の議題を封印するのではなく、時期と順序を調整するというメッセージと読み取れる。
国政運営の優先順位を見れば、全体像がより鮮明になる。大統領は2日の国会施政方針演説で不平等と両極化に言及し「すべての人の成長」を強調し、不動産投機根絶のメッセージを連日発信しながら現場訪問を続けている。民生の安定が憲法改正論議に優先するという優先順位の表明だ。9月初頭の大統領の指示をもとに全羅南道が500病床規模の病院と木浦(モクポ)大学ロースクールの設立を盛り込んだ西南圏発展計画を策定した事例でも確認できるように、大統領室は地域の懸案解決で積み上げた信頼の上で長期課題に取り組む順序を好むようだ。
憲法改正慎重論は相当期間維持されると展望される。与野党が信頼を回復できていない状況で3分の2の議席を確保することは構造的に難しく、大統領が反発を直接懸念した以上、当面は憲法改正より民生・経済課題に国政の能力を集中させる流れが続く公算が大きい。その代わり、ユーチューブやSNSを通じた直接コミュニケーションは、より攻撃的に拡大されると予想される。国民との接点を広げて世論の基盤を固めた後に憲法改正のカードを切るシナリオだ。
アクトンが「自由はより高い政治的目的のための手段ではなく、それ自体が最高の政治的目的である」と述べたように、憲法改正も権力の道具ではなく、国民の生活の秩序を再構築する目的そのものであるべきだ。大統領の慎重論が速度調整の妙手となるのか、それとも憲法改正論議自体を有名無実化するのかは、結局はその次の一文、すなわち何を変えるための憲法改正なのかを国民に説得できるかにかかっている。
