不正捜査特検法の国会通過で与野党対立が頂点に
「大統領も過ちを犯せば刑務所に行かなければならない」という国民の力のスローガンが、8日現在、国会と大統領府を引き裂く最大の争点となった。
民主党など与党陣営が主導した「不正捜査・不正起訴の真相解明特検法」が国会本会議を通過したことで、与野党間の対立は頂点に達した。国民の力はこの法案を「李在明大統領の裁判をなくそうとする自己免罪符」と規定し、張東赫代表は李大統領の弾劾を公然と主張し、7日には景福宮駅前で「李在明裁判取消し悪法強行処理国民糾弾大会」という名称の院外集会まで開いた。
与野党で法案への見方がなぜこれほど違うのか
法案の骨子は、過去の検察の捜査・起訴過程で不正疑惑のある事件を特別検察官が再捜査することだ。与党陣営は「検察権が特定政権の私物ではないことを確認する立法」という立場だ。一方、国民の力は特検の捜査対象が実質的に李大統領に関連する事件に合わせられていると見ている。特に国民の力は、捜査対象12項目のうち6項目が李大統領関連事件だと主張している。
法務省人事まで攻防の火種が飛び火した。李大統領が検察出身でない李容澈防空庁長を法務部長官候補に指名すると、国民の力は直ちに反発した。張東赫代表はこの人事を「李在明脱獄プロジェクトの最後のピース」と評価した。同じ党の金民錫最高委員はこの人事を「城南ライン」の人事であり「親盧系包摂のシグナル」と解釈し、人事の政治的意味を問題視した。
再議要求権の行使の是非が今後の政局の分水嶺
残る焦点は李大統領の決断だ。野党は特検法案に対する再議要求権、いわゆる拒否権の行使を公然と求めている。ここで拒否権を行使すれば与党陣営との摩擦を招く一方、再議に付すれば野党が予告した弾劾局面に発展する可能性が高まる。「大統領も過ちを犯せば刑務所に行かなければならない」というスローガンは、そうした野党の圧力の強さを象徴的に示している。
政治攻防とは別に、この法案の実質的な争点は検察監視装置の設計にある。不正捜査を解明するという目標自体には、与野党ともに原則的な異見はないように見える。問題は特検の対象選定と権限範囲が特定人物の裁判に及ぼす影響だ。裁判中の事件を特検が再捜査すれば既存の刑事裁判と衝突し得るという点で、法理論の論争も政治論争に劣らず熾烈になる見通しだ。
地方選挙を控えた政治的計算も作用
この時点での与野党の強硬な対立は、選挙の地図とも重なっている。最近の世論調査の流れでは、広域選挙を控え、慶北を除くほとんどの地域で野党が優勢という観測が出る中、国民の力の内部では「嶺南圏保守の結集」による逆転戦略が流れている。糾弾大会と弾劾カードはこの流れを狙った側面がある。
与党も同様だ。李大統領は7日、ソーシャルメディアを通じて「褒めることはあっても賛美ではなく、支持することはあっても崇拝はするな」と支持層の理性的判断を強調した。政治家への宗教的賛美を戒めた発言で、強硬支持層の結集に頼る野党との対比を作ると同時に、自党支持層の過激化を先回りして防ごうという意図と読み取れる。
権力者への賛美と批判は必要だが崇拝は民主主義を蝕むという李大統領の発言は、皮肉にも相手陣営がこの法案をめぐって浴びせる批判と絡み合い、今後数週間の政局の温度を決める変数となった。拒否権をめぐる決定が下されるまで、与野党の綱引きはなかなか収まらない見通しだ。
