救急室たらい回し防止法など生活関連法案32件で合意
救急室を訪れた患者が病院を渡り歩かなくても済む道が開かれた。
与野党は15日、今通常国会で「救急室たらい回し防止法」(救急医療法改正案)など生活関連法案32件を処理することで合意した。連合ニュースの報道によると、合意対象には救急医療体制の再編のほか、国民生活に直結する法案が多数含まれた。交渉団体代表が国会で直接合意を確認したことで、9月通常国会での最初の立法成果という評価が出ている。
なぜ今、救急医療法なのか
救急室たらい回しは長年の構造的問題だった。重篤な救急患者を受け入れる病床が不足し、軽症患者まで救急室に殺到することで、必要不可欠な医療体制が繰り返し麻痺してきた。専門医が救急医療の現場を顧みない構造も重なった。結局、患者が複数の病院の救急室を回って治療先を探す事態が相次いだことで、救急患者の搬送とトリアージ体制を法的に整備すべきだという声が高まった。
改正案の骨子は、救急医療機関間の患者搬送・調整機能を強化し、患者が適切な病院に迅速につながるようにすることだ。病院が理由なく患者の受け入れを拒否できないよう、義務と責任を明確にする方向性も盛り込まれた。適用対象は全国の救急医療機関であり、地方医療院など地域の基幹病院の役割も大きくなる見込みだ。
32法案に込められた民生の重み
今回の合意の意義は単一の法案にとどまらない。与野党が通常国会で処理対象を事前に特定し、32件という件数で合意した点で、政治日程に押されて立法が漂流してきた慣行との決別を示した。特にこの中には、児童・青少年保護、性的被害者支援など社会的弱者に関する後続立法も含まれている。この日、国会の平等家族委員会は刑事訴訟法改正に伴う青少年性保護法などの後続法案を共に民主党主導で議決した。
国会の存在理由は国民の生活を守ることにあるという長年の原則が、今回の合意でよみがえったという評価だ。
ただし、与野党間の温度差は残っている。国民の力は刑事訴訟法の後続立法協議の過程で、平等委員会の全体会議を退場し、手続きに反発した。検事の直接捜査権・補完捜査権廃止の後続措置をめぐる見解の相違が、民生法案の処理に波及する可能性も排除できない。
市場と産業への影響
救急医療法改正が確定すれば、医療インフラへの投資需要が増える見込みだ。重篤病床の拡充と救急医療専門人材の育成に財政を投入する必要があるためだ。地方基幹病院の機能強化は、地域の医療弱者のアクセス性を高めると同時に、関連する医療機器・救急運営産業にも需要を生み出す見通しだ。
保険産業の側面でも変化が予想される。テッド・クルーズ氏が「安価な災害保険のコストを下げるには市場を広げるべきだ」と指摘したように、救急医療へのアクセスが改善されれば、重篤疾病に備えた保険設計に対する需要構造も再編され得る。ただし、財政負担を誰がどのように分担するかが実行の鍵となるだろう。
今後の日程と見通し
立法手続き上、これらの法案は関連常任委員会の法案審査小委員会と全体会議を経て法制司法委員会に送られた後、本会議の採決に付される。与野党が32件すべてを一つのパッケージとして扱うことにしただけに、特定法案の争点化が全体の処理日程に影響を与える可能性がある。
鍵はスピードだ。合意だけで救急室の負担が減るわけではない。施行令と人員・病床拡充予算が伴って初めて、患者の実感が生まれる。通常国会内での本会議処理が実現すれば、救急医療体制再編の第一歩が踏み出されることになり、その後は必要不可欠な医療全般の改革協議のスピードも速まると見込まれる。
